80年代の空気と、今も変わらない曖昧さを味わってしまいました。
長野県出身ということもあり、以前から気になっていた田中康夫の『なんとなく、クリスタル』を、ようやく読みました。
どうでもいいけどおやき大使になりたいんですが、どうやったらなれるんだろう。
さて本作、まず強く印象に残ったのは、その非常にユニークな構成。
本文と同じ、あるいはそれ以上の存在感を放つ注釈が大量に挿入されており、読み進める中で何度もページを行き来することになります。疲れる笑
その注釈内容がまた特徴的で、どこか『悪魔の辞典』を思わせるような皮肉と距離感があります。
ブランド名、人名、流行、場所に至るまで細かく解説されており、80年代のバブリーな若者文化や価値観が、やや冷笑的に切り取られているように感じました。
ブランド志向、ステータス思考。
「なんとなく」かっこよければいい、「なんとなく」様になっていればいい。
そして、それでもなんとかやっていけてしまう、、、そんな時代の空気が、作品全体から伝わってきます。
正直なところ、自分の学生時代とは少し違った雰囲気を感じました。が。
一方で、
将来がまだおぼろげで、どう生きていきたいかが固まりきっていない。。。
この点については、自分も同じだったなぁ。。。(今もか?)
その意味では、時代が変わっても変わらない部分なのかもしれません。
では、今の20代や学生はどうなんでしょう。
現代は、ゴールに最短距離で進むための知恵や情報が溢れています。
その分、「なんとなく」で許される余白は、当時よりも少なくなっているようにも感じますよ。
ちなみにこの本は、読み方に少し工夫が必要だと感じました。
注釈が出るたびに参照していると、どうしても読むテンポが悪くなります。
自分の場合は、
- まず本文をある程度読み進める
- その後、まとめて注釈を読む
という方法がいちばん合っていましたね。
最後に、、、作中で象徴的に描かれる六本木について。
現在の六本木は当時とは大きく様変わりしましたが、本書を通して描かれる80年代の六本木は、確かに「時代の象徴」だったのだと思います。
ちょっと自分の目で見てみたかったかも。
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